尿失禁手術後の排尿困難と尿失禁手術の歴史 -女性泌尿器科-

20年前くらい前までは、尿失禁手術後の排尿困難は、当たり前のことでした。だって尿道が閉塞するように吊り上げていたんですから。尿失禁手術後の排尿困難が確率が減ったのは、2000年前後からです。 理由があります。 尿失禁手術のスタンダードが変わったからです。革新的な手術の名前は、TVT手術です。TV Tは、tension free vaginal tapeの略なんです。日本語に訳すと緊張をあ...
子宮脱や膀胱瘤の手術後に尿が漏れたら -女性泌尿器科-

最近子宮脱や膀胱瘤(以下骨盤臓器脱)の手術をしてくれる病院が増えてきました。 これまで骨盤臓器脱は、放置されていることが多かったので手術してくれる病院が増えてきているのは、本当にすばらしい医学の進歩です。その手術で、臓器下垂感がすっきりして生活の質が向上する患者さんが90%です。しかし残りの10%は、新たなことに悩まされることになります。 それが尿モレです。 骨盤臓器脱がある...
40歳を過ぎて、全身の関節が痛くなった貴方へ
私は、女性泌尿器科医として間質性膀胱炎/慢性骨盤痛症候群という疾患を長く診ています。この病気、膀胱の粘膜が弱くて常に頻尿や下腹部痛がある病気です。普通の泌尿器科医は、膀胱を診るのが好きで、膀胱の治療をするのが好きなので、膀胱鏡による診断や、膀胱鏡下での操作での治療が好きです。 一方私は、以前から漢方薬等の飲み薬の治療が好きだったり、女性医療にも積極的に関わっている...
女性検診を受けましょう

みなさん、検診受けてますか? 女性医療専門家である女性医療クリニックLUNA理事長関口由紀がすすめる “エイジングケアに必要な6要件” 1.血管を守る2.骨を守る3.うつ状態にならないように気をつける4.皮膚の老化を防ぐ5.筋肉量を維持する6.癌を早期に発見する のうち、日々の努力で最小限の女性ホルモンレベルを維持すると、1~5は維持できますが、6.癌を早期に発見するためには、検診が大切です...
QOL疾患
QOL疾患とは、放置しても死ぬことはないが、生活の質がとても落ちる病気のことです。 以前は、放置すると死ぬ病気(癌、脳血管障害、心臓病など)などに比べると、一段低くみられていたQOL疾患ですが、先進国では人間が長生きするようになって、高齢化によるQOL疾患が増加し、衣食住が足りていればいいという時代から、豊かな人生を送りたいと人々が望むようになったため注目されるようになりました。さらにそれ...
がんで若死にしないようにしよう
元キャンデーズの田中好子さんが、乳癌で亡くなったことが報道された。19年前に初発し、その後何度かの再発を乗り越えたそうだ。芸能人が、癌で亡くなるととたんに、一時的にマスメディアが、その癌に注目し、報道が増える傾向にあるが、今回も例外ではない。しかしこの20年くらい闘病して死亡するというパターンは、乳癌患者では決して珍しいものではない。最近の乳癌患者は、発症してから10年以上生きるのが当たり前であ...
骨盤臓器脱のステージ -女性泌尿器科-

骨盤臓器脱のステージは、現在国際尿禁制学会制定のICS分類がもっとも使用されています。POP-Qという腟内の9つのポイントの長さを測る、専門家向けのステージング法がありますが、この簡易版が分かりやすいので、こちらで説明します。 腟口からどのくらい出ているかでステージが異なります。 ステージ1 ステージ2 ステージ3 ステージ4 腟口から出て...
「女性のココロと体調」 -女性内科-

女性医療クリニックでのアプローチ 女性クリニックでは、まずホルモン療法や、漢方、抗うつ剤などで、更年期や過剰なストレスで、バランスの悪くなった体のホメオスタシス(恒常性)を回復し、さらにカウンセリングなどで、潜在的なストレスの正体を、患者自身が認知し、体調の悪さを、ストレス暴露のサイレンと考え、そのストレスから距離をおくように、学習してもらい、最終的には、運動療法で、ストレスに強くなる主体となるこ...
国際女性泌尿器科学会2015 in フランス・ニース 報告

国際女性泌尿器科学会2015が、6月10日から13日にかけてフランス・ニースで行われました。今回は、この学会報告です。 骨盤底リハビリテーション(骨盤底筋トレーニング他)に関しては、外陰部痛に関しては陰部に麻酔薬を塗るだけの群よりも、しっかり骨盤底リハビリテーションを行った群のほうが、痛みの改善度が高かったという報告がありました。尿失禁、頻尿、骨盤臓器脱の症状改善に関しては、骨盤底リハビリテーショ...
マンモ(ス)グラフィー絶滅の危機??? -乳腺外科-

乳癌検診と聞いて、最初に思い浮かぶことは何でしょうか? 『あの長い時間、乳房を引き延ばされ、板に挟まれて、痛い思いをする。。。』そうです、マンモグラフィー(図a)です。乳癌検診のイメージを悪くする原因の1つになっているかもしれませんね。実際、乳癌検診の欧米受診率は80%と高いのに比べ、日本の受診率は16%とかなり低いです。 乳腺外来では『マンモグラフ...