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高齢女性にもやさしい腹圧性尿失禁の治療法〜TFS手術による日帰り手術のご紹介〜

「くしゃみや咳で尿が漏れる…」そんなお悩みに

「くしゃみや咳をしたときに尿が漏れてしまう」「長時間の外出でパッドがびっしょりになる」といった症状にお困りの方は少なくありません。特に、出産経験のある方や加齢の影響で多くみられるこのような症状は、「腹圧性尿失禁」と呼ばれています。

これは、加齢や出産などによって骨盤底の筋肉や靭帯が弱まり、尿道をしっかり支えられなくなることで起こります。

当院では、**日帰りで受けられる低侵襲手術「TFS(Tissue Fixation System)手術」**によって、尿漏れの悩みを改善しています。今回は、80代後半の女性の事例を交えながら、治療内容をご紹介します。

TFS手術を選んだ理由:患者様の事例から

今回ご紹介する80代後半の患者様は、「咳やくしゃみのたびに尿漏れがある」「外出時はパッドが濡れて不安」という訴えで来院されました。

初期治療として、

  • 骨盤底筋トレーニング(骨盤底リハビリテーション)

  • 薬物療法

を組み合わせて実施しましたが、尿漏れが完全にはなくならなかったため、「できれば漏れをゼロにしたい」というご本人の強いご希望があり、TFS手術を選択されました

TFS手術とは?|体への負担が少ない尿漏れ治療

TFS手術は、腹圧性尿失禁に対するスリング手術の一種で、少ない傷で行える低侵襲手術です。高齢の方でも安全に受けていただけるのが特徴です。

手術の流れとポイント

  • 麻酔:静脈麻酔+局所麻酔を併用

  • 手術時間:約30分

  • 切開部位:尿道中部下の腟壁を約1cm切開

  • 手術内容:7mm径のポリプロピレン製スリングを尿道中部下に挿入し、尿道をしっかりと支えることで、腹圧がかかっても尿漏れが起こりにくくなります。

この手術は日帰りで可能です。手術当日は午前中に施術を行い、術後に排尿の確認をしてから帰宅いただきます(通常15時〜17時頃)。

術後の注意点と回復までの流れ

術後1週間

  • シャワーは翌日から可能

  • 自宅で安静に過ごし、外出は控えめに

  • 生活活動は全体の約7割程度が目安

術後6週間まで

  • 重い荷物を持つ動作を控える

  • 運動やジム通いは一時中止

術後1週間で診察を行い、経過が良ければ日常生活へ徐々に戻っていただけます。

よくあるご質問(FAQ)

Q. スリングは体内で溶けますか?
**A. 溶けません。**使用するスリングはポリプロピレン製で、心臓手術にも用いられる安全性の高い素材です。

Q. 尿道を支えれば他の緩みはそのままですか?
**A. 他の組織の緩みがある場合、補助的な治療が必要です。**レーザー治療や骨盤底トレーニングを組み合わせることもあります。

Q. 子宮を摘出していても手術は可能ですか?
**A. はい、可能です。**子宮摘出後は腹圧性尿失禁が起こりやすくなるため、TFS手術をご希望される方も多くいらっしゃいます。

尿漏れに悩む女性へ、安心して受けられる治療を

腹圧性尿失禁は、日常生活の質(QOL)に大きな影響を与える症状です。TFS手術は、以下のような特徴があります:

  • 小さな傷で済む

  • 日帰りで受けられる

  • 成功率90%近く

「もっと早く手術していればよかった」という声も多く、高齢の女性でも安心して受けられる治療法として注目されています。

尿漏れの症状が気になる方は、我慢せずにぜひ一度専門医へご相談ください。