日本で広がる“デリケートゾーン”と“フェムゾーン”―― 言葉の違いから見える意識の変化
「デリケートゾーン」という言葉は、多くの人が耳にしたことがある身近な表現です。
一方、最近では「フェムゾーン」という新しい言葉も登場し、SNSやメディアを中心に広がりを見せています。
この2つの言葉の違いは、単なる言い換えではなく、女性の健康やケアへの向き合い方の変化を映しています。
✅ 「デリケートゾーン」の浸透度
🔹 長年使われてきた一般的な言葉
「デリケートゾーン」は日本で広く浸透し、検索ボリュームやSNSでの使用頻度も圧倒的に多い表現です。
🔹 企業の商品名にも採用
某製薬会社の「フェ〇〇ーナ」シリーズなど、大手企業の製品にも関連ワードとして定着し、信頼感があります。
🔹 “繊細さ”のニュアンス
ただし「デリケート」という言葉には、
「触れにくい場所」「人には言いにくい」
という印象も含まれています。
🌱 「フェムゾーン」の現状
🔹 フェムテックとともに広がる新しい言葉
「フェムゾーン」は、「フェムテック(Femtech)」という概念と連動し、若い世代を中心に少しずつ認知が拡大しています。
🔹 ポジティブなイメージ
「フェミニン」と「ゾーン」を掛け合わせたことで、
“主体的にケアする場所”という前向きなニュアンスが込められています。
🔹 SNSやメディアでの発信が中心
特に美容や健康意識の高い層、インフルエンサーやフェムテック関連の企業が積極的に使用しています。
⚖️ 両者の比較と今後の展望
🔹 現状は「デリケートゾーン」が優勢
検索数や認知度では「デリケートゾーン」が圧倒的に優位にあります。
🔹 「フェムゾーン」は新しいケア文化の象徴
まだ一般的とはいえませんが、今後は“ポジティブにケアする文化”とともに広がる可能性があります。
🔹 GSMとのつながり
閉経後に多くの女性が経験する GSM(閉経後性器尿路症候群) の理解やケアにおいても、「フェムゾーン」という言葉が持つ前向きなニュアンスは大きな役割を果たすでしょう。
「デリケートゾーン」と「フェムゾーン」という言葉の違いは、
女性の体に対する社会のまなざしや、ケアのあり方の変化を映し出しています。
隠すのではなく、前向きにケアする対象としてとらえること。
その意識の変化は、年齢を重ねて直面する健康課題――
GSM(閉経後性器尿路症候群) を理解し、備えるきっかけにもつながります。
2025.8.25
女性医療クリニックLUNAネクストステージ院長 中村りょう子