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性欲低下について③ 心因性、カップル間の心理的関係性の問題。

最近休みの日でも早く起きてしまいます。

年なのでしょうか…。

 

今日は性欲低下についてシリーズ3回目。
原因としてもっとも多い心因性です。
心因性といっても、いろいろあります。

 

うつ病などの精神疾患は別項で扱いますが、ここではカップル間の心理的な関係性の問題についてみてみましょう。

多くの場合、相手との親密度の低下が根本にあります。
親密度が低下することで女性の外的受容的性欲が生じず起きると考えられます。

 

親密度にかかわる、オキシトシンというホルモンのお話をしましょう。

オキシトシンは「愛情ホルモン♡」とも呼ばれます。

分娩時に母体で上昇し、子宮を収縮させる作用のあるホルモンとして発見されました。
その後、赤ちゃんがお母さんの乳首を吸ったり、肌が触れ合うことで母体中で上昇することが発見され、母子の愛着に関係すると考えられ研究が進みました。
現在では母子間だけでなく、カップル間の愛着(=親密)にも関係することがわかっています。

 

オキシトシンはセックスの性反応のあらゆる段階で男女ともに上昇することもわかっています。
特にオルガズムに達すると上昇し、お互いの親密度を上昇させ、次のセックスへとつなげます。

 

しかし、そもそもの親密度が低下しており、性行為に及ばないときはどうしたらいいでしょうか?

 

オキシトシンを上昇させましょう。

 

どうやって?

 

オキシトシンは触れ合いやアイコンタクト、思い遣りや共感で上昇します。

しかも、面白いことに、

思い遣られた側も思い遣った側も、共感された側も共感した側もオキシトシンが上昇し、
オキシトシンが上昇することでさらに共感力が上昇し相手をいたわるようになり利他的な行動を起こすように
なります。

よい循環が見えたでしょうか?

 

具体的には、まずは簡単なところから、

スキンシップとして手のマッサージをしあう、慣れたら背中のマッサージをしあう(できれば服を脱いでオイルなどを使うのもいいかもしれません)。
セックス以外でも一緒に行動する。
日常的なものでは買い物、散歩、料理、家事…。
時間があるならレジャーや旅行に出かける、スポーツをする。
同じ体験をすることも共感力アップにつながるので、インドアのカップルは一緒に映画を観るなんてのもよいです。

私はよく患者さんに

5分間目をそらさず見つめ合う、アイコンタクトトレーニング見つめ合うとオキシトシンが出ます)や、
呼吸を合わせるカップルヨガをすすめています。

 

前回のホルモン異常の項で、明らかなホルモン異常がなく、明らかなカップル間の問題も見当たらない方、
また、低用量ピルを中止できない方には、これらの方法が有効なこともあります。
男性ホルモンの補充と合わせて行うこともあります。

 

実はパートナー対して不満があり、それが原因で性欲が湧かないという場合もあります。

 

例えば…

・性欲低下で来院した女性。
よく聞いてみたら、夫が家にいる時もずっとネットゲームをして人と話をしているのが不満だった。
また、毎日、長時間にわたり離れて暮らす家族と電話をしている。
外国出身の夫に文化の違いを言ってもわかってもらえず辛かった。

 

というような、実は性行為に関係ないことが問題だったり…

 

・数年前に夫の浮気が発覚し、それ以来しようとしてもできない。
セックスをしたいとは思っているのに。夫は妻の問題と思っていて、説明してもとりあってくれない。

 

・彼が射精するのが遅く、挿入してからの時間が一時間のことも。
疲れてしまうのでなんとなく性行為をさけていたら、その内したくなくなってしまった。

 

こうしたあらゆる不満がある場合、性行為に関係があってもなくても、

とにかくなんでも吐き出すことが重要です。

私のところにたどり着いた方はとにかく私にお話してもらいます。
調整が必要な場合はパートナーにも来院していただき3人でお話をしたり、パートナーだけにお話しを伺ったりもします。
カップルカウンセリングのようなものです。

カップルカウンセリングを行っている施設は多数ありますので、ご自分と相性が良さそうなところを探して受診してみるのが良いでしょう。

 

カップルカウンセリングは敷居が高いな、という方は…

① まずは不満を紙に書きだしてみましょう。
書いている内にふつふつと怒りが湧き出てくると思います。怒りは抑えてはいけません。

 

② その怒りを自覚したら、
「私こんなに怒ってたんだ」「こんなにつらかったんだ」自分を肯定してあげてください。

注意点は、「こんな負の感情があるなんて自分はなんてひどいんだ」と自己嫌悪に陥らないようにしてほしいということです。

 

③ 次に、ほんとはどうして欲しいのか、欲しかったのか、具体的なパートナーの行動を書き出します。
遠慮しなくて大丈夫です。どんどん願望を書きましょう。

 

④ 最後に、相手のいいところを書き出しましょう。
こうすることで怒りを中和します。
これだけでも、だいぶすっきりすると思います。

 

⑤ できれば、パートナーに不満を伝えましょう。
ただし、相手に伝える場合、ただ吐き出しただけでは相手を傷つけてしまうこともあります。
伝えるタイミングは選んだ方が良いでしょう。お互いにリラックスしていて雰囲気のいいときが良いと思います。

まずは④で書いた、相手のいいところを伝え、「ありがとう」と伝えましょう。
そのうえで「怒っていること」は伝えず、「つらかったこと」「悲しかったこと」を伝えてみましょう。
ここで「そうなんだね」と共感を得られるのが筋書きですが、この時点で逆切れしてしまうパートナーもいるかもしれません。
そんな時は第3者の介入が必要かもしれません。

共感が得られたら、「こうして欲しい」「こうして欲しかった」と伝えてみましょう。

 

カップル間の心理的関係性の問題には、パートナーが家族のようになってしまい性欲がわかなくなってしまったという例もあります。

具体的には、
パートナーが男性の場合、父のよう、兄のよう、弟のよう
女性の場合、母のよう、姉のよう、妹のよう子供みたい。ということもあります。

 

多くは出産後など環境の変化があってのことですが、子供がいなくても、交際期間、婚姻期間が長いカップルでも起こり得ます。
こうした場合も、今回ご紹介した親密度をあげる行動が有効なことがありますし、一度カウンセリングを受けられるのもいいと思います。

 

また、今回ご紹介した方法以外にも、泊りの旅行に行って環境を変えてみる、
ラブラブだった頃のシチュエーションを再現する(思い出の場所にふたりで行く、以前二人でしていたことを一緒にやってみる、など)のもいいですし、
『前戯ってにすればいいの?』でご紹介したセンセートフォーカステクニックをやってみるのもいいと思います。

 

性反応が循環型であるため、やる気スイッチは人それぞれ。いろいろ試してみることが大事です!

2021.12.4
村田佳菜子医師