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大人女子の不正出血 -婦人科-

生殖年齢の女性は30〜40年間排卵して、その結果子宮内膜が厚くなり、これが剥がれて出血するという日常を繰り返すわけです。
これを医学的には月経と呼び、通称は生理といいますね。

正常の月経は25〜35日くらいで定期的に膣から出血し、その出血量は月経1〜3日目までが量が多く、5〜6日で終了します。
生殖年齢の最初と最後、つまり13〜20歳と45〜55歳くらいまでは月経に定期性がないことが多く、これを月経不順と言います。

40歳から起こる月経不順は更年期の始まりサインであることが多く、月経不順だけでなく、ホットフラッシュやめまい、発汗、全身倦怠感、知覚過敏など不快な症状が合わせて起こるようになったらクリニックを受診したほうがいいでしょう。

さて20〜45歳の本来ならばあまり月経不順の少ない時期においては、どのくらい不順になったら婦人科に来たほうがいいのでしょうか?
よく言われているのは、3ヶ月に1回くらい月経が来ていれば卵巣機能は守られるということです。これ以上月経が来ない期間が長くなると、卵巣機能不全になってしまうことあるので、婦人科を受診したほうがいいでしょう。
もちろん妊娠希望の場合は別です。
3ヶ月に1回しか月経が来ないということは、3ヶ月に1回しか排卵しないということですから、妊娠しにくくなります。
妊娠希望の方が、月経不順の場合は、速やかに婦人科を受診したほうがいいでしょう。一方出血頻度が25日よりも短い場合は、不正出血と呼ばれることが多く、別の原因が考えられます。

有名なのは、排卵出血です。
月経開始日の14日前、前後に、卵巣から排卵が起こりますが、この時に腹痛とともに、性器出血が起こることがあるのです。

人間は、哺乳動物のなかで、女性自身がいつ排卵したかを正確にわからない、ほぼ唯一の種と言われています。
以前は、つねに妊娠する可能性があると男性も女性も考えているほうが、 人間という種の生殖に有利だったからと考えられています。
この中で、自分が排卵したことをはっきりと認識できる女性は、社会的に優位な立場に立てたでしょう。
だって妊娠も、避妊も自分の意思で操作できたんですから、現代は全ての女性が、自分の妊娠・出産をある程度コントロールし計画的にできるようになっています。
しかし卵の老化は、更年期が始まる5〜10年前、つまり35歳〜45歳から起こっており、人によっては35歳前後から妊娠しにくくなっていきます。

女性の人生は、90年時代ですが、生殖できるのはこのうち30年間であると知っておくことは重要です。不正出血のほかの原因としては、黄体機能不全などという病態も考えられます。

卵巣内には、排卵後黄体というのができます。この黄体は、黄体ホルモン(プロゲステロン)を分泌します。これは妊娠した場合は、妊娠を維持するホルモンです。
この黄体の機能が悪く、黄体ホルモンの分泌が悪いと、月経開始日より前に、子宮内膜が維持できずに剥がれ落ちてしまい性器出血が起こるのです。黄体機能不全は、不妊症の原因にもなります。

さらに子宮頸部に良性のポリープなどがあってこれがSEXのたびに刺激され出血することがあります。
この良性のポリープは、婦人科で簡単に切除することができます。

最後にもっとも注意しなければならない重要な疾患が、子宮癌です。子宮癌には、子宮頸がんと子宮体癌がありますが、この2つの病気の最初の症状として多いのが、不正出血なのです。

ですから生殖年齢の女性は、月経と排卵出血以外の不正出血があれば、まめに婦人科受診をしたほうがいいのです。

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